座るだけで本当に効く?尿漏れに対するBIJIRISの使い方と医学的エビデンス

こんにちは。
名古屋市中村区、本陣駅3番出口徒歩3分の位置にある
そえだ腎・泌尿器科クリニック院長の副田雄也です。

BIJIRIS(ビジリス)について、

「座るだけで本当に効果があるんですか?」
とよく質問をいただきます。

今回は、

✔ 実際の使い方
✔ 効果が出るまでの流れ
✔ 医学的な根拠

をまとめてお話しします。

■ BIJIRISは“骨盤底の筋トレ”

BIJIRISは
高密度電磁刺激(HIFEM)を用いて、
骨盤底筋を強制的に収縮させる治療機器です。

1回20分で、
数千回レベルの筋収縮が起こります。

これは、

いわゆる骨盤底筋体操では
ほぼ不可能な回数です。

つまりBIJIRISは、

「座っているだけの高強度筋トレ」

なのです。

■ 実際の治療の流れ

治療はとてもシンプルです。

1️⃣ 椅子型の機器に座る
2️⃣ 出力レベルを調整
3️⃣ 20分間リラックス

✔ 服は着たまま
✔ 麻酔不要
✔ ダウンタイムなし

刺激は「内側がトントン動く感じ」。
強さは調整可能です。

■ 骨盤底筋訓練はガイドラインで推奨されている

まず前提として、

骨盤底筋訓練(PFMT)は
腹圧性尿失禁や前立腺術後尿失禁に対して
第一選択の保存的治療とされています。

つまり、

骨盤底筋を鍛えること自体は
医学的に確立された治療です。

■ なぜ従来の体操では効果に差が出るのか?

研究では、

約30〜50%の方が
正しく骨盤底筋を収縮できていない
と報告されています。

  • 腹筋に力が入っている
  • お尻を締めているだけ
  • 息を止めている

これでは十分な筋肥大は起こりません。

BIJIRISは
神経を直接刺激し、
不随意の最大収縮を誘発します。

これが従来訓練との大きな違いです。

■ どれくらいで効果が出る?

個人差はありますが、

✔ 3〜4回目で締まり感
✔ 5〜6回で尿もれ回数減少
✔ 8回前後で安定

というケースが多いです。

筋肉は1回では変わりません。

腕や腹筋と同じで、
継続刺激によって強くなるのです。

■ 臨床研究で示されていること

HIFEMを用いた骨盤底治療では、

🔹 尿失禁症状スコアの改善
🔹 パッド使用量の減少
🔹 QOLスコアの改善
🔹 骨盤底筋厚の増加(超音波評価)

などが報告されています。

特に、

軽度〜中等度の腹圧性尿失禁
改善率が高いとされています。

■ 向いている方・向いていない方

向いている方

○ 咳・くしゃみでの尿もれ
○ 出産後のゆるみ感
○ フェムケア
○ 前立腺術後の軽度尿失禁
○ 予防的トレーニング

単独では不十分なこともある

✖ 神経因性膀胱
✖ 重度の切迫性尿失禁
✖ 高度臓器脱

この見極めが重要です。

■ 医療機関で行う意味

BIJIRISは
“ただ座ればいい機械”ではありません。

大切なのは、

✔ 尿失禁のタイプ診断
✔ 重症度評価
✔ 手術適応の判断
✔ 他治療との組み合わせ

です。

泌尿器科専門医として、
適応をきちんと見極めた上で提案しています。

■ 結論

骨盤底筋を鍛えることは、
医学的に正しい。

HIFEMによる強制収縮は、
従来訓練の弱点を補う手段。

しかし、

「魔法の治療」ではありません。

適切な評価と、
継続治療によって効果は最大化されます。

■ 最後に

尿もれや骨盤底の悩みは、

「年齢のせい」
「仕方ない」

と諦められがちです。

ですが、

筋肉は何歳からでも変えられます。

気になる症状があれば、
まずは診察で状態を確認しましょう。

参考文献

  1. Dumoulin C, et al. Pelvic floor muscle training versus no treatment for urinary incontinence in women. Cochrane Database Syst Rev. 2018.
  2. Silantyeva E, et al. Female Pelvic Med Reconstr Surg. 2021.
  3. Samuels JB, et al. J Clin Med. 2020.
  4. Leonardo K, et al. Neurourol Urodyn. 2025.
  5. Zhang RQ, et al. Biomedicines. 2024.
  6. American Urological Association / SUFU Guideline for Stress Urinary Incontinence.