前立腺の手術後に
「勃起しなくなった」
「以前より硬さが弱い」
と感じる方は少なくありません。
これは決して珍しいことではなく、医学的にもよく知られています。
前立腺の周囲には勃起神経がある
前立腺周囲には勃起に関係する重要な神経があります。
それが
海綿体神経
です。
この神経は前立腺のすぐ横を通っています。
そのため
- 前立腺がん手術
- 前立腺肥大症手術
では、どうしてもこの神経に影響が出ることがあります。
手術後EDの発生率
報告によって差はありますが、前立腺がんの手術後には
30〜70%程度
でEDが起こるとされています。
特に
- 年齢が高い
- 糖尿病
- 高血圧などの血管障害
がある場合はリスクが高くなります。
神経は回復することもある
手術後のEDは
完全に治らないとは限りません。
神経は回復することがあり、回復まで
6か月〜2年
かかることがあります。
その間に重要になるのが
ペニスリハビリ
という考え方です。
ペニスリハビリとは手術後に
- 血流
- 神経刺激
- 勃起機能
を維持するための治療です。
具体的には
- ED薬
- 陰圧式勃起補助具
- 骨盤底筋トレーニング
などが行われます。
陰圧式勃起補助具であるVigor2020は、PMDA(医薬品医療機器総合機構)に承認された唯一の真空式勃起補助具です。
当院は、Vigor2020の取扱い施設としてホームページに掲載されています。
骨盤底筋は勃起に重要
勃起は「血流の問題」と思われがちですが、実際には
血管・神経・骨盤底筋の3つが協調して起こります。
骨盤底筋の中でも特に重要なのが
- 坐骨海綿体筋(ischiocavernosus muscle)
- 球海綿体筋(bulbospongiosus muscle)
という筋肉です。
これらの筋肉は陰茎の根元を取り囲んでいます。
勃起時に収縮することで陰茎の静脈を圧迫し、
血液が外へ逃げるのを防ぐ働き
があります。
この仕組みによって、硬い勃起が維持されます。
一方で骨盤底筋が弱くなると、血液が陰茎から流出しやすくなり、
- 勃起の硬さが弱い
- 勃起が持続しない(中折れ)
といった症状につながることがあります。
実際に、
骨盤底筋トレーニングがEDの改善に有効であった
という研究も報告されています。
そのため最近では、骨盤底筋を強化する治療として
- 骨盤底筋トレーニング
- 高密度電磁刺激(HIFEM)
などが、ED治療の補助として注目されています。
6か月の骨盤底筋トレーニングで
- ED改善:40%
- 明確改善:35%
という結果が報告されています。
次回は
ED薬が効かない人にBIJIRISは効くのか?
というテーマで
- ED治療の選び方
- 高密度電磁刺激治療のデータ
について解説します。
参考文献
Dorey et al., British Journal of General Practice
052-433-3121