新しい尿失禁治療 / PRP療法

PRP療法

自家多血小板血漿(じかたけっしょうばんけっしょう、Autologous Platelet-Rich Plasma:PRP)は、自分自身の血液から作られる、血小板を高濃度に含む血漿のことです。
血を止める時に働くイメージのある血小板ですが、実は成長因子を多く含み組織を修復し再生させる性質を持っています。
採血後にPRPを作成し、尿道に注入して治療を行います。
大きな手術に不安がある方や、前立腺全摘除術後の失禁がある方に期待ができる治療です。
現在、泌尿器科以外にも整形外科、皮膚科、美容医療などさまざまな分野で再生医療の一部として応用されています。

成長因子とは?

成長因子には以下の成分が含まれます。

  • PDGF
    血管新生・線維芽細胞増殖促進
  • TGF-β
    組織再構築と抗炎症作用
  • EGF
    上皮細胞増殖と再生
  • VEGF
    血流改善・血管形成
  • IGF
    筋肉や結合組織の修復

どんな尿もれに期待ができるか

主に腹圧性尿失禁に有効です。

  • 咳やくしゃみ、立ち上がりなどで尿がもれる方
  • 出産や加齢で骨盤の筋肉がゆるんでいる方
  • 入院が必要な手術には抵抗があるけど、改善したい方
  • 前立腺がんの手術をした後に漏れるようになった方

切迫性尿失禁の方も一部効果が見られることがあります。診察にて適応を判断します。

現在わかっている有効性

各文献等で以下のような結果が出ています。

くしゃみや咳、走ったりして漏れる方

少し良くなった28.5%
良くなった25%
とても良くなった21.4%
計75%の改善

年齢によって尿道が広がって漏れてしまう方

少し良くなった28.6%
良くなった40%
とても良くなった20%
計88.6%の改善

前立腺癌の手術から尿漏れがある方

少し良くなった21.4%
良くなった50%
とても良くなった21.4%
計92.9%の改善

︎治療の流れ

  1. 採血(約100mlほど)
  2. PRPを抽出(作成に3週間ほどかかります)
  3. PRPを尿道周囲に注射(数分で終了、日帰りで可能・追加料金で麻酔あり)
  • 男性は内視鏡を使用して、女性はそのまま尿道括約筋に注入します
  • 開始後数週間〜数ヶ月で効果を実感される方が多いです
  • 月に1回、2〜4回くり返すとより効果的です
  • 効果は半年〜1年程度持続します。それ以上持続する可能性もありますがまだわかっておりません。

メリット

  • 日帰りで行い、メスを使わないため体の負担が少なく行えます。
  • 薬や機械を使わず、組織の自然な回復を促します。
  • 自分の血液を使うのでアレルギーや感染症の心配がありません。

デメリット

  • 新しい治療なので、データが少ないです。
  • 注射をする際の痛みや出血が起こる場合がありますが、自然に軽快します。
  • 効果を維持するには複数回の手術が必要になることがあります。
  • 組織の回復力には個人差があり、希望する効果が得られない可能性があります。
  • 自費診療となるため、経済的負担が大きいです。

価格(税別)

手術代
(1回、初回のみ)
180,000円
手術代(2回)340,000円

男性は別途、内視鏡使用+注射針代として15,000円がかかります。

局所麻酔(ゼリー)無料
静脈麻酔
(プロポフォール)
20,000円