ウロリフト(UroLift)/前立腺吊上げ術
ウロリフト(UroLift)は、前立腺肥大症(BPH: 良性前立腺肥大)の治療法の一つです。
従来の外科的手術やレーザー治療に比べて、より低侵襲で早い回復を可能にする方法として注目されています。
ウロリフトは、前立腺組織を切除するのではなく、前立腺の肥大した部分を「吊り上げる」ことで尿道を広げ、尿の流れを改善する治療法です。
前立腺の組織を削ったり切除したりしないため、手術後の出血や性機能障害などのリスクが低いのが特徴です。
また、手術自体は短時間で済み、日帰り手術が可能です。
当院院長は、ウロリフトの手術ライセンスを中部北陸地方で初めて取得し、ウロリフト指導医(2024年現在国内4名)を取得しております。
当院の麻酔は全て麻酔科標榜医を取得しております院長が担当致します。(全身麻酔の管理経験300例以上)
前立腺肥大症とは?
前立腺肥大症は、男性に多い加齢に伴う疾患で、前立腺が肥大し、尿道を圧迫することで排尿に支障をきたす状態です。
症状としては、尿が出にくい、夜間頻尿、残尿感、急な尿意などが挙げられます。
当院での治療の流れ
1回目の受診:診察、事前検査
まずは手術に適応があるかの診察、手術可能かの事前検査を致します。
検査結果からウロリフト適応の患者様は手術のご予約日時決定。
2回目の受診:手術(ウロリフト)
- 診察
- 局所麻酔と静脈麻酔を使用し、鎮静下で行います。
- 尿道にカメラ付きの器具を挿入し、前立腺の肥大した部分を観察する。
- 前立腺の肥大した部分をクリップのような針(UroLift専用インプラント)で尿道の外側に吊り上げ、固定する。
- この手順を必要な箇所で繰り返し、尿道が十分広がったら終了。
- 酸素濃度管理下での30分安静。
- 診察
手術当日はバルンカテーテルを尿道に留置してのご帰宅となります。
3回目の受診:診察(手術翌日)
診察、術後の経過確認。問題なければバルンカテーテル抜去。
事前にご準備いただきたいこと
・高額医療制度の申請
ウロリフトは高額医療制度の対象となりますので手術日までにお手続きをお済ませください。
手術前に手続きをされないと窓口でのご負担額が高額になります。
・他院での治療歴、検査結果
可能でしたら紹介状を頂けると助かります。
紹介状が難しい場合は、前立腺肥大症の治療歴(投薬、検査など)をわかる範囲でご確認頂き、初回診察時にご持参ください。
・既往歴、常用薬
泌尿器科以外の既往歴、常用薬のご確認もさせていただきます。
お薬手帳をお持ちの方はご持参ください。
・血液をサラサラにするお薬を服用中の方
手術前にお薬を一時中断していただくことになりますので、主治医の先生に一時断薬が可能かをご確認ください。
※遠方よりご受診の患者様は、手術の次の日に診察があるため手術当日は近隣ホテルにご宿泊される場合がほとんどです。(ホテルでの診療はありません)
手術当日は運転、公共交通機関でのお一人のご帰宅はできません。
事前検査、手術翌日の診察は運転、公共交通機関のご利用も可能です。
当院は名古屋駅から地下鉄で2駅、タクシーで10分弱(1,000~1,500円程)です。
ウロリフトのメリット・デメリット・注意点
【メリット】
・低侵襲
切開や組織切除が不要であるため、体への負担が少ないことがこの手術の最大のメリットです。
外科的手術が手術時間が2時間程度、であるのに対しウロリフトは20-30分程度で、出血量、合併症共に少なくて済みます。
・回復が早い
多くの場合、数日で日常生活に戻ることができます。
・入院が不要
入院が不要のため、入院が難しい患者様も手術が可能です。
・性機能の温存
前立腺肥大の手術の中には、性機能に影響を及ぼすものがありますが、ウロリフトは性機能や射精機能にほとんど影響を与えないとされています。
・効果が持続する
手術後も長期間にわたり排尿機能が改善されたまま維持される例が多いと言われています。
【デメリット・注意点】
・全ての患者様に適応できるわけではない
極端に大きい前立腺や特定の形状をしている場合は、この手術が適していないことがあります。
患者様毎に最適な手術が違ってまいります。
病状、生活、年齢に合わせて様々な方法をご提案させて頂きます。
・保険適用
日本では、ウロリフトの保険適用範囲が限られております。
特に若い方は保険適用が難しくなっております。(ウロリフトを自費でご希望の方はご相談ください。)
初回診察時に保険適応での手術が可能かどうかお伝えさせて頂きます。
・再手術の可能性
ウロリフトを行っても、前立腺が再び肥大する可能性があります。その場合、再治療が必要になることもあります。
ウロリフトが向いている方
ウロリフトは特に、以下のような人に向いています。
- 侵襲が少ない治療を希望する。
- 性機能の温存を重視する。
- できるだけ早く回復して通常の生活に戻りたい。